ひまと面目

つぶします

僕がブラック企業に入った話

   就活中の僕は浅はかであった。なにせ1社しか選考を受けていないのだ。キャリアカウンセラーに勧められ、合同説明会のブースを訪ねるとそこには綺麗なお姉さんと陽気なオジサン。最先端技術を支える事業内容。取引先には世界中の有名企業。無知な僕は『優良中小企業』と信じて疑わなかった。しかし、今にして思えばいくらでも気付ける要素はあったのだ。このブログを読んでいる就活中の君は何か少しでも参考に出来ることがあるかもしれないし、ホワイト企業に勤めている君は鼻で笑って優越感に浸って頂ければ幸いである。
   
   先にひとつ言っておくと、僕はひねくれものだ。そのため、大企業を避け、1つ飛び抜けた技術のある中小企業を好んだ。それが奈落の底へと転がり落ちるきっかけとなった。僕が就職して学んだことは、中小企業には果たすべき社会的責任などないということだ。企業は雇用を創出し、賃上げによって社員の生活を豊かにして、有給は社員の当然の権利とすることを良しとする現代社会において、大手企業は社会的責任を果たすことを強く求められる。だが極端な話、世間の注目を浴びにくい中小企業は、賃金や福利厚生、労働環境を、世間の常識に合わせて改善させる外部からの圧力を受けにくい。当社の例を挙げると、

  1. 年一回昇給あり(必ずあるとは言ってない)
  2. 年二回賞与支給、評価に応じて上下(0.8~1.0ヶ月分×2)
  3. 有給、代休制度(取れるとは言っていない)
  4. サービス残業は基本的に無し(そもそも残業と認識されていない)
などである。このような、詐欺まがいの所業が平然とまかり通る。社員たちの目に光はない。
まさに僕は現代社会の闇を見ているのだ。

   しかし、中小企業といえどもホワイト企業はたくさんあるという批判もあるだろう。だが、ここにもう1つの要素を加わると、ホワイト企業となり得る可能性は限りなく0に近づく。それは、同族企業であるかどうかだ。同族企業というのは、経営のほとんどを創業者一族やその近親者で占めている企業のことである。この場合、会社は社員のモノでは無く、一族のものである。そのため、労働組合は形骸化し、世間で報道されるような賃上げ交渉などは存在しない。労働組合委員長には特別な権限など与えられず、BBQやソフトボール大会などのレクリエーションを企画するピエロへと成り下がる。同族企業は、技術を守り伝承するためという大義名分のもと、株式を公開しないことが多い。こうして経営権を維持していくのだ。また、株式を公開しないことにより、内部情報が漏れにくく、より世間の目を欺くことが出来る。
   以上の要素が見受けられる会社はブラック企業であることを疑ってかかることをお勧めする。
   麻雀に例えれば、東一局で親満振り込んだぐらいの気分であって、まだ人生取り返せそうな雰囲気も無くもない。今後に期待。